2012-04-01

ビザ・滞在許可証取得の為の研修 ... la formation

先週の日曜日月曜日の2日間で、予定通り500キロの長距離を車で往復しました。
タイトルの通り、滞在許可証取得に義務付けられている研修に参加する為に。

急遽研修に参加しなくてはならなくなった経緯は…

ビザ・滞在許可証取得完了までの道のり


※参考までに…過去のビザ・滞在許可証関連の記事… 
1. 行政機関の職員さん
2. 新たな地での生活

朝9時から16時という長時間に及んだ研修。
午前中はフランスの歴史。
午後はフランスの政治経済についてでした。
久しぶりに学校の授業を受けたかんじでした。

この研修、滞在許可証取得の為に義務付けられている研修の1つで、今月半ばにもう1つの研修(フランスでの就職についての研修)が義務付けられています。私は3つ目の語学の研修は免除されました。

今回の研修、できるものであれば欠席したかったけれど…
義務となっては止む無し…
参加するからには、1日がかりな訳だし、満喫しなければ損!という気持ちで研修に臨みました。 


この研修を企画している、ビザや滞在許可証関係管轄の行政機関の方曰く、
「集合は時間厳守でお願いします。8時45分受付開始で9時スタートです。8時30分目指して来てください。」
7時30分に前泊していた夫の実家を夫の運転する車で出発し、余裕で8時30分には現地に到着しました。
ところが、8時45分になっても一向に建物は開かず… 恐らく研修に参加するのだろうと思われる様々な肌の色の方々が、開かずの扉の前で文句一つ言わずに待っているというのに…
結局受け付け開始9時、研修スタート9時30分。 

学校の教室のような部屋にスクリーンを囲んでコの字に約20名の滞在許可証を申請している”フランス国籍でない人々”が着席しました。 

講師はスキンヘッドのおじさん。
グレーのスーツに黒のタートルネックを合わせており、赤い淵のメガネのおじさん。
「ようこそフランスへ!まずは私が自己紹介をします。その後お一人お一人順番に自己紹介してください。」 っと、この講師には見えないおじさん、自己紹介を始めました。 

「私の名前は○×△です。アラブ系フランス人で子供が4人います。」 

自ら”アラブ系フランス人”と自己紹介したこのおじさん。
正直びっくりしてしまいました。
フランスの行政機関から委託されている研修機関による今回の研修。
フランスの歴史や政治経済についての講師の方が生粋のフランス人ではないなんて。


私にはフランスの生活でどうもまだ慣れないというか、違和感を感じてしまうことがあるのですが、それは、様々な人種の人々がこの国には”国民”として、さらには”フランス人”として生活しており、様々な文化・宗教が共存しているということ。
先日もトゥールーズで宗教問題・人種問題の絡んだ事件が起き、3人の幼い命を含む7人の尊い命が奪われるという恐ろしい悲しい事件がありました。


この研修の講師のおじさんも、フランス語にナマリがあるし、お肌の色もカフェオレ色。
でも”フランス人”として”外国人”である私達研修参加者に講義をするのです。 

なんだか不思議。


研修参加者20名の内アジア系は私1人。
過半数が北アフリカ、中央アフリカ、中東の国の方々でした。
1月末に受けた、やはりビザ・滞在許可証取得の為の健康診断の際にいたロシア人の女性の姿もありました。
この方も私のことを覚えていたらしく、近くの食堂レストランでの昼食の際は、このロシア人の女性(控えめできれいな方。ウズベキスタン出身でモスクワで英語通訳者として働いていたらしく、モスクワで知り合ったフランス人の彼と結婚を期に渡仏)とモロッコ人の女性(グラマラスな彼女はエステティシャンだったとか…イタリアに住んでいたが、インターネットで知り合ったフランス人と結婚を期に渡仏…なんだか超怪しいんですけど…笑)とお喋りをしながら昼食をいただきました。

久しぶりの講義。
眠気との戦いの1日になるかなぁっと心配でしたが(笑)、このスキンヘッドのおじさんは中々の話し上手で眠気とは無縁の1日でした! 

朝から自己紹介をさせられたり、”国歌”のパートで数名が自身の国歌を歌わされ…
私も1人寂しく”君が代”を歌う羽目になり…
っと、これが滞在許可証取得の為の義務研修!?っと突っ込みたくなることがたくさんありましたが…

とにかく長時間に及んだ研修は無事終了しました。


開始時間の遅れにも呆れてしまいましたが、さらに呆れてしまったので、1日中教室の後ろで研修の様子を監視していた行政機関の女性が、「本日の研修受講証明書を作ってくる時間がなかったので、後日ご自宅に郵送します。」っと言ったこと。
(ちなみにこの女性、自己紹介もせず、唯一の発言がこれ…これで税金からお給料もらっていいの!?)
教室中の目がこの女性をにらんでいました。笑


スキンヘッドの中々の話し上手な講師のおじさんの発言の中で、とても印象的だったパートがありました。 
「サッカーのワールドカップの際、フランス国籍である様々な人種の人々がフランスチームを応援し、パレードをしました。サッカー選手のジダンもオリジンはフランス人ではないけれど、”フランス”代表の有名な選手として世界に名を誇っています。セサ・ラ・フランス!(これがフランスなんです!)」 
とても印象的な言葉でした。

自身がアラブ系フランス人と自己紹介した講師のおじさんによる”フランスについて”の講習を受講できて良かったなと素直に痛感しています。 

フランスでの生活で違和感を感じていた私のモヤモヤが少し(いや、随分っと言っても過言ではありません)このスキンヘッドのおじさんのお陰ですっきりしました。 

戦後移民としてフランスに来た人々はとても働き者で、近頃多く見られるフランスに入国し無職のまま手当てを頼りに生活している移民の人々に対して、働き者だった移民の方々やその子孫は嘆いている、という話を耳にしたことがあります。
もちろんあえて無職で手当てを頼りに生活する人々は移民の人々だけではありませんが。
一概には言えないけれど、治安が悪い地域で悪事を謀る多くの人々は無職の移民の人々が多いように感じます。
人種差別の発言と思われてしまうかもしれませんが、このように感じてしまうのは私だけではないはずです。

研修中、このスキンヘッドの講師のおじさんは、何度も何度も、
「フランス語を習得し、職に就いてください。同じコミュニティーや人種で固まるのではなく、視野を広く持ってください。あなた達にはあらゆる可能性があります。」
っと力説していました。
心に残る言葉でした。


12時から1時間の昼食タイム以外にちょくちょく休憩時間があり、それでもやはり9時から16時までの長時間に及んだ研修は、お尻が痛くなりました。 

16時、終了後すぐに、また夫の運転で長距離移動開始! 
フランスから12キロに及ぶアルプス山脈のトンネルを抜けてイタリアに入り、22時頃再度フランスに入国。
写真はぶれてしまっているけれど、高速道路のイタリア・フランスの国境を告げる看板を目にした時は、なんだかほっとしてしまいました。


長い長い1日でしたが、考えさせられることが多かった貴重な1日となりました。

他の地域の研修が同じような内容なのか分かりませんが、このスキンヘッドのおじさんによる研修だったからこそ有意義な研修時間になったのだと思います。 

見た目は怖いけれど、スキンヘッドのおじさんに、ありがとう!を伝えたいです。


2 件のコメント:

  1. おつかれさま〜お尻もおつかれさま〜笑
    そんな義務があるんやねぇ。日本にもあるのかな、もしかして。
    色んな肌の色の人々が「私は日本人です」って言ってみんな違和感なく生活をする日もいつか来るのかな〜と思ったよ。そうなったら面白いよね。更に進んでもう国籍とかビザの必要がなくなって、みんな平和に暮らせるのが一番良いな〜。

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  2. ayaさん
    本当にそうだよね!みんなが平和に暮らせるようになるのが一番良いよね!
    自分の国を捨てて他の国に平和を求めて移住する…っていうようなこともなくなる世の中になりますように。

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